お知らせ

vol.63 怖~いカビの感染症

2001/06/22 アーテック倶楽部ニュース

本格的に梅雨に突入し、このところ雨が多いですね。特に洗濯物の乾きが悪くて困ってしまいます。
今回のテーマは“カビの感染症”についてです。62号から引き続き、総合防菌研究所・市川幸充先生より頂きました情報をもとに、カビの感染症について考えてみたいと思います。

怖~いカビの感染症

カビは、地球規模で考えればリサイクルの強力な推進者であり、地球にとって非常に有益な存在であることは、62号でお話しました。しかし、私たちの生活空間で過剰にカビが繁殖していたら、私たちの健康には問題ないのでしょうか?

答えは、大いに問題があるのです。
その問題を大きく分けて三つ取り上げます。
1)真菌(カビ)感染症 
2)真菌アレルギー 
3)真菌中毒症 (バクテリアを細菌と呼ぶようにカビを真菌と呼びます)
今回は、1)の真菌感染症について触れてみましょう。

カビの生育条件は、

  1. 温度 0~50℃ 
  2. 水分 相対湿度65%以上 
  3. 酸素 
  4. 栄養(有機物) ということであり、人間が生活する環境がそのままカビの最適な生育環境でもあります。そして、人間だからといってカビは区別 してくれません。
    カビにとって人間は有機物のかたまりであり、食べ物なのです。 ヒトで繁殖するカビですぐに思い起こすのは、ほとんどの方が水虫(皮膚糸状菌症)であると思いますが、一口に水虫といっても病原菌(白癬菌)の種類は、3属27種におよび髪の毛から足の爪先までありとあらゆる皮膚で繁殖できます。

水虫が発生した場所によって病名が変わり、頭に生えれば「シラクモ」、股であれば「インキン」、顔や胴体であれば「タムシ」などで、正式にはもっと細かく呼び方が変わります。
このような水虫は、皮膚の表皮を栄養にしています。家庭に一人水虫になっている人がいれば、その家庭の床からは必ず白癬菌が検出されます。
当然職場でも長靴の共有やスリッパの共有で他人に感染してしまいます。このように皮膚に繁殖してヒトを病気にさせることを『表在性真菌症』と呼びます。
一方、体の中で繁殖してヒトを侵害するカビの病気を『深在性真菌症』と言い、俗に言う日和見感染が主な感染理由です。

日和見感染とは平素はなんでもないけれども、ひとたびヒトの体の抵抗力が弱まると、肺や脳、肝臓、腎臓、あらゆるところで繁殖し、死に至らしめる場合もあります。
ヒトの体の皮膚にも体の内部にも多くの微生物が存在しています。その微生物はお互いに牽制しあい、どの菌も爆発的に繁殖することはありません。
しかし、皮膚で言うと薬用液体石鹸で陰部などを毎日丁寧に洗っていたりすると、細菌の数は減り、真菌の数は増大します。また、抗ガン剤や免疫抑制剤などを投与されている方は、菌のバランス変化の他に体の体力や免疫力が落ちていて、健常者の体では簡単に防御できるカビが、繁殖してしまいます。

カビにとっては、非常においしい栄養素となってしまいます。病院で死亡された方の病理解剖では、約40%の方にカビの繁殖が認められています(北里大学 久米 光先生)。
非常に身近にいるカビがヒトの死因に関わっているのです。

62号のカビクイズの答えです!
毒を生産するカビは主に熱帯から亜熱帯地域に分布している
はい
カビの毒(マイコトキシン)は熱に弱い
いいえ
穀類やナッツなどがカビの汚染を受けやすい
はい