お知らせ

vol.35 木製品、竹製品の衛生

2000/04/14 アーテック倶楽部ニュース

連載★ HACCPこわい!?食品安全再点検★
今回は「木製品、竹製品の衛生」の先回のつづきで、「ざる」からです。

ざ る—–

ざるは、竹製、金属製、プラスチック樹脂製といろいろなものが大きさ・形・使用目的によって用いられています。

うどんやそばを茹でるとき、千切りキャベツを水切りするとき、スパゲティを茹で上げるときなど、数え上げればきりがないくらいに毎日活用されています。でも、その消毒法と言えば、流水で洗うだけということがないでしょうか?

ざるは網目が細かいので、洗いかたが不十分だと、どうしても汚れや残滓が付着したまま自然乾燥ということになります。

水分と栄養分があり、厨房内の暖かさが加わりますと細菌は急速に増殖してゆきます。少しの油断が大きな食中毒事件を発生させることとなりますので、洗浄消毒という基本動作は厳守しなければなりません。

竹製のざるは、水切れも良く、使い心地も良いのですが、汚れが染み込みやすいという欠点があります。洗浄消毒を以下のようにして、細菌の住処とならないようにしましょう。

ざるの洗いかた—–

  1. スポンジやタワシを用いて、網目の汚れや残滓を落としましょう。
  2. 洗浄槽に洗剤0.2%前後の濃度(1リットルに対して1.5~2.5gの洗剤量)でよく洗いましょう。
  3. 水槽に水を溜め、さらに水を出しながら洗剤泡が出なくなるまですすぎましょう。このとき、汚れや残滓、洗剤が残っていると薬品消毒をする場合に消毒の効果が著しく低下します。

※食器を洗ったあとの汚れた洗剤液でざるを洗うとかえって残滓を付けることになります。

ざるの消毒法—–

良く洗ったざるは材質によって次のような消毒法を行いましょう。

竹製:煮沸消毒85℃以上の温度で5分以上。
ステンレス製:煮沸消毒85℃以上の温度で5分以上。
プラスチック樹脂製:次亜塩素酸ナトリウム200ppm希釈液に2分以上浸す。

日光で消毒させる方法が最も良いのですが、毎日は無理ですので、風通しの良い場所に棚を置き、上段にざるを伏せて乗せ、自然乾燥させましょう。

また、古くて壊れかかったものは、手指を傷つけたり、中身をこぼしたりしてマイナスです。速やかに新しいものと交換しましょう。

さて、これからしばらくは、学校給食に照準を合わせて連載していきます。

「調理施設は衛生管理を行いやすい構造・設備とすること」—-

『三訂:学校給食における食中毒防止の手引』は、日本体育・学校健康センターから全国の給食センター、単独校等の事業所に配布されている冊子で、学校給食の「食品安全」を守るための言わば「教科書」です。初版は、10年前ですが、現在の最新版はHACCP手法を参考に再編集されたものです。

早急に整備を図ることが必要な事項

1.食品保管庫は、

食品の搬入・搬出に当たって、調理室を経由しない構造と、配置とするとともに、適切な温度及び湿度管理がなされ、衛生面に配慮した構造であること。

2.調理室内は、

表の「汚染作業区域と非汚染作業区域の区分の基準」により明確に区分けし、床の色分け、衝立の設置等により作業動線が明確になるように工夫し、これらの区域の交流を少なくした配置であること。

表については、次号へ

(参考資料:食品衛生早わかり/牧野権一著/柴田書店刊 )

(参考資料:三訂/学校給食における食中毒防止の手引/日本体育・学校健康センター発行 )