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vol.10 煮沸消毒・紫外線消毒とは

1998/08/28 アーテック倶楽部ニュース

連載★ HACCPこわい!?食品安全再点検★
先回の「消毒」がらみの用語解説は、いかがでしたでしょう?

消毒、殺菌、滅菌、除菌などいろいろありました。
私なんか顔から「火」が出る思いです。で、これらをひっくるめて慣例的に「消毒」と呼んでも良いのだそうです
大別すると、厨房で主に用いられる消毒方法は以下の二つになります。
物理的な方法:煮沸(熱湯)、蒸気、乾燥、紫外線(日光)
化学的な方法:次亜塩素酸ナトリウム、逆性石鹸、エタノール(消毒用アルコール)で、それぞれ、条件がある訳です。
次は代表的な消毒方法の個々の解説に入りたいと思います。今から白状しておきますが、これからの解説によって、私が「滅菌」と表記していたことが、実は「殺菌」や「除菌」に過ぎなかった場合が出てくると思います。勉強不足、申し訳ありません。
代表的な消毒方法の解説
この中に皆さんの「知らないこと」が一つでもあれば幸いです
「煮沸(熱湯)消毒とは?」
かつて(15年程前)、多くの学校給食センターには煮沸消毒専用の消毒槽が備えられておりました。「金属カゴに食器器具を入れて熱湯の中に5分以上漬ける」というのが当初決められた手順だったのですが、現実は違っておりました。
沸騰しているところに食中毒菌を入れれば、瞬間的に滅菌できるので、これほど完全な消毒方法は無いのですが、理屈通りには行かなかったのです。以下の不具合がありました
食器を入れた瞬間に熱湯が60℃以下に温度降下してしまい、温度が復帰するまでに15~30分を待たなければならなかった。
煮えたぎった熱湯から食器をとりだすのが重労働であったばかりか、スタッフに常に火傷の危険がつきまとった。
洗いおわった食器が後から後からたまってしまい、つかえてくるため15~30分の時間が待てずに不完全な消毒のまま戸棚に入れてしまう事態が習慣化した。
特に温度降下の問題から最終的には煮沸消毒の場合は100℃で5分以上、85℃で20分以上が必要であるという条件が決められ、現在にいたります。
ここ、ポイントですよね!。
今ではほとんどの学校給食センターで煮沸消毒槽は姿を消し、紫外線を利用した食器消毒保管庫が主流になっていることも、充分納得が行くと思います。現在でも、煮炊釜を活用して煮沸消毒を行っている病院等がありますが、ほんのわずかです。でも、煮炊釜なら前出の消毒槽よりも温度降下に対する復帰は早いでしょうから、案外、賢い方法なのかもしれません。
次は「紫外線による消毒」です。
晴れた日に布団を干す効果は、太陽熱によって布団にたまった水分を蒸発させ、フカフカにするのみではありません。布団の表面で水分と一緒に増殖している細菌を殺す効果もあるのです。
これは「日光消毒」と呼ばれる、太陽光線の中の「紫外線」によって殺菌する、最も簡単で古典的な消毒方法です。地下室の厨房でもない限り、たとえ密閉されたビルでも、窓さえあれば「紫外線」は室内に入ってきています。(紫外線はガラスを通り抜けます。)

9/11号につづく