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vol.11 次亜塩素酸ナトリウム消毒とは!その1

1998/09/11 アーテック倶楽部ニュース

連載★ HACCPこわい!?食品安全再点検★
今回は、「紫外線による消毒」のつづきです。

地下室の厨房でもない限り、たとえ密閉されたビルでも、窓さえあれば「紫外線」は室内に入ってきています。(紫外線はガラスを通り抜けます。)
ですから、ふきんでもまな板でも調理器具は使用後によく洗い(つまり除菌して)太陽光線の当たる所に並べておけば、充分とは言えないけれど殺菌できるのですね。曇っている日でも可能です。
さて、そこで食器消毒保管庫ですが、これは.「紫外線」を発生させる蛍光燈を装備しています。俗に「殺菌灯」と呼ばれていまして、蛍光管の中で発生した「紫外線」を特殊ガラスを使って2.537オングストローム(下記「注」参照)の波長にして放射するように作られたものです。(紫外線は、2.6オングストロームが殺菌力最高と言われています。)
また「紫外線」による消毒は、対象物の表面に限られますので、深部に入り込んだ細菌はそのままです。よって殺菌灯を取り付けておくと厨房室内に浮遊している細菌や、照射された調理台の表面は消毒されます。他に有効とされるものには、食器、まな板、包丁、食材倉庫や冷蔵庫内などが上げられます。ここ、今日のポイントですよね。
ただし、「紫外線」は人に直接あたった場合、皮膚が海にいった時のように日焼けしたり、目を痛めたりします。食材の中でも肉などは表面がドス黒く変色し、商品価値を無くしてしまいます。充分注意して活用する必要がありますね。殺菌灯も仕事が終わって帰る時に(電気がもったいないからと言って)消す人がいますけど、本当に殺菌効果を求めるなら、むしろ逆に「夜間に照射」して「昼間は消しておく」ほうが良いでしょうね。

どんな消毒方法でも、特長をよく理解した上で使うことが大切なのです。
(注)オングストローム:原子物理学や電磁波の波長測定などに用いる長さの単位です。1オングストロームは1000万分の1ミリです。(参考文献:食品衛生早わかり/牧野権一著/柴田書店刊)

「次亜塩素酸ナトリウムによる消毒」

次亜塩素酸ナトリウムは、食品添加物として使用することの認められている殺菌料です。
これは、サラシ粉(下記「注:1」参照)が水に溶けにくいことから改良された水溶液で、食器を消毒する程度の濃度なら人体に無害であり、しかも殺菌力が強く、漂白作用もあり、安価です。
また、薬事法でも代用消毒薬として指定されています。商品名としては「サニクロン」「ピューラックス」「フジラックス」「エクリンゾール」などと呼ばれて市販されています。
有効塩素は、食品衛生法では4%以上と定められていて、市販品には4%、5%、6%、10%、12%のものがあり、容器にその表示があります。次亜塩素酸ナトリウムは、光と熱に弱く、時間の経過と共に有効塩素は減少してゆくため、陽のあたる所を避けた冷暗所に保管し、なるべく1ケ月以内に使い切る必要があります。よって、小さな厨房では、一度に大量に購入しない方が得策です。
次亜塩素酸ナトリウムの用途は広く、食器の殺菌・漂白から木製の器具(おひつ、まな板、しゃもじ、すだれなど)、水、床、汚水槽、残菜入れ、ふきん、雑巾、マスクに至り、消毒した結果得られる悪臭防止効果まで、金属以外のものなら何でも可能です。ただし、生野菜についてはにおいが残るため、流水による充分な洗浄が消毒後に必要です。
(「注:1」◎サラシ粉:消石灰に塩素を吸収させた白色の粉。殺菌及び植物性繊維の漂白などに用いる。カルキ。)

9/25号につづく