お知らせ

vol.19 洗浄について

1999/05/14 アーテック倶楽部ニュース

連載★ HACCPこわい!?食品安全再点検★
「洗浄」そのものの目的、意味を考えてみましょう。
今までの連載の中で、「洗浄」が「殺菌」「滅菌」「除菌」の前段階として非常に重要な位置を占めることは、ご理解されていると思います。そこで、厨房室における洗浄・殺菌の体系をまとめます。

洗浄の体系

1:洗浄で何を除去するのか?

洗浄で除去すべきは以下のものです。
付着微生物:細菌・カビ・酵母
汚物: 土壌・異物・糞便
食品カス:肉片・脂肪・血液その他の有機物

ここに「洗浄」の目的があります。

2:洗浄の方法は?

「洗浄」の方法には二通りあり、それぞれを複合的に行います。

物理的作用による方法:

流水、シャワー水を使って洗い流す。スクレーパー、ダスター(ふきん)、たわしを使ってこすり取ったり、拭き取ったりする。

化学的作用による方法:

せっけんを使用する。
中性洗剤を使用する。
視覚的清潔を得るために、汚れの除去・除菌を行う訳です。

3:殺菌の方法は?

「殺菌」にも以前紹介しましたように二通りあり、それぞれを複合的に行う場合があります。

物理的殺菌:

(A) 高温加熱(熱湯、煮沸消毒による)
(B) 紫外線(日光、殺菌灯による)
(C) 乾燥(日光など)

化学的殺菌

消毒剤(逆性せっけん、次亜塩素酸ナトリウム、アルコールなどによる)細菌学的清潔(衛生)を得るために、殺菌・滅菌・除菌を行う訳です。

以上のなかで、「洗浄」の物理的作用は、案外に除菌効果があり、日常的に行われれていることです。

特に、食肉用や鮮魚用まな板では、スクレーパーによる肉片、肉汁のかき取りは、常に行われていることで効果の大きいものです。

一方、ダスター(ふきん)による拭き取りや、たわしによるこすり取りは、それ自体の細菌汚染が著しく(細菌数が100万~1、000万の密度のものが認められる)、拭くことにより、逆に細菌を付着させているケースが多く見られるのです。

次回は「洗浄はいつ、どんな時におこなうか?」について解説します。

(参考資料:食品衛生/1997年11月号/社団法人日本食品衛生協会刊 )

5/28号につづく